おやッ! 痛い!!
 そうだった、パセリでもリアルだった……


 神のみぞ知るセカイ三巻です。
 今回の犯人(ヒロイン)は春日楠とエリート悪魔ハクア・ド・ロット・ヘルミニウム
 確かに恋愛物をわずか200ページ程度で二作も書くのは分量的に不可能である。
 当然、大部分が削られ、必要不可欠な点が露骨に現れる作品ではある。
 だが、この行間を読みこむことは不可能ではない。むしろ、題材のチョイスと処理の仕方をナメてもらっては困る。いや、ナメてもらっても全然困らないけど、実は馬鹿にできないのであるのである。
 以下、ネタバレ……なのか?
 ことにハクアの場合、現代社会に根づく『エリート思想』を揶揄しているのはいうまでもない。無意識のうちに直近の結果を欲する気持ちが芽生えるのは、あらゆるコミュニティのシステム上の必要悪であり、むしろ、それそのものともいいかえられる。とくに、学生や受験生がそのことを痛感するのは珍しくない話であろう。
 優等生であることを守るために必死になり、畢竟、排他的な視野が確立される。スキマを使われるハクアの序盤はそれが実にはっきりと現されている。『優等生』のときの友人に出会うと、優等生であることを守りきれる自信がなくなるわけである。よくあるコンプレックスであろう。
 それを救えるのは、自分を終始知っている人間が、『優等生』という意味ではなく今も昔も自分にとって一番だと伝えることになる。本作ではしっかり回収しているはずである。また、ハクアとの旧知の仲──あるいはエルシィの優しさともいう──を感じさせるP184左上のエルシィからP185の最後のエルシィへのつながりは、そのコンセプトを効果的に強めている。

 あまりに削り、露骨すぎる作品で、人には薦めないけど、好きだからしかたないよなぁ。