東方儚月抄 〜Cage in Lunatic Runagate.

東方儚月抄 〜Cage in Lunatic Runagate.

東方儚月抄 Cage in Lunatic Runagate』読了。
 おもしろいなー。
 そりゃメディアミックスで、二次作品でさんざんネタにされ、キャラの魅力は盤石としたものになっているけどさ、
 それでも理之貫的に「頭いい人だなー」という作品に出会えた。森博詞さんとかがそうだった。
 理之貫の「頭のいい人っぽい人」の特徴は少なくとも次の2つ。

  1. ネタの元になっている部分に教養がある。あるいはオリジナルがある。(面白さの面白さにこだわるということ)
  2. 「売ることや読者のことを考えずに書かれた」という印象。理之貫はそういうものしか基本的に興味がない。

 執筆するのはそれが面白いと思ったからで、他人から評価されるためではなく、また面白さを追求するのは読者のためでも作者のためでもなくて、それ自身が、あるいはその行為そのものが面白いからである。
 いろんな妖怪や人間が出てくるけど、みんな趣味趣向、考え方や価値観が違う。だから他人から見れば愚かな行為に見えても本人たちは楽しんでいる。そういう点で楽しめた。群像劇なのかな。幻想劇かもしれない。
 あとがきにも書いてあったけど、小説だけじゃ儚月抄のストーリーを理解できないかもしれない。その点ではこの小説は幻想小説である。地の文でも会話文でも、いろいろ頭のいいことが書かれている。それだけでも小説になるのかもしれない。東方をまったく知らない人が読んだらどうなのだろう。その答えに意味はないし興味もないが。
 幻想小説は便利な言葉なので今後多用しよう。「理之貫の書くものは分かんなくてもいいよ、幻想ミステリ小説だもの」。
 本の感想。
 まじめなシーンなんだけど、輝夜ニートすぎて面白かった。「だから私は退屈な日々を打ち破る第一歩として、盆栽を愛でる事を仕事とした」ってお前、ニートすぎるだろう。
 紅妹のシーンは竹取り物語りをオリジナルにしてて面白かった。永遠亭に行くあたりがかわいい。
 妖夢ってこんなに可愛いことをするキャラだったのか。
 霊夢曰く『紫=幻想郷一駄目な妖怪』。駄目くらい幻想郷大好き妖怪だからね、彼女。