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- 作者: 氷川透
- 出版社/メーカー: 原書房
- 発売日: 2000/06
- メディア: 単行本
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おもろかった。氷川透さんの作品といえば、理之貫としてはアタリのときハズレのときがあって、今回はアタリの方。『真っ暗な夜明け』くらいアタリ。
密室や死体の状況に工夫して、それをさまざまな着眼点で見て行くんだけど、「こうやると面白いなぁ」という可能性をいちいち拾ってくれる。
『最も美しいトリックというのは考え出すものではなく、すでにそれぞれの頭の中に潜在的にあるものである。ゆえにミステリー作家がトリックを考える作業というのは、その頭の中にある潜在的な美を認める作業なのだ』
と理之貫はときどき思う。
今作では、死体の使い方や目撃証言、あるいは密室の在り方など、理之貫の潜在的に「こう考えると面白いなぁ」と思える可能性をちゃんと回収して議論する。だから面白いと思った。
ただ例によって例のごとく、現象や場合分けが複雑だから再読して整理したい。
それにしても相変わらずだな氷川さん。「しかし、さらに論理の神に忠誠を誓うならば」とか言い出すところなんか特に。