密室は眠れないパズル

密室は眠れないパズル

『密室は眠れないパズル』読了。
 おもろかった。氷川透さんの作品といえば、理之貫としてはアタリのときハズレのときがあって、今回はアタリの方。『真っ暗な夜明け』くらいアタリ。
 密室や死体の状況に工夫して、それをさまざまな着眼点で見て行くんだけど、「こうやると面白いなぁ」という可能性をいちいち拾ってくれる。
『最も美しいトリックというのは考え出すものではなく、すでにそれぞれの頭の中に潜在的にあるものである。ゆえにミステリー作家がトリックを考える作業というのは、その頭の中にある潜在的な美を認める作業なのだ』
 と理之貫はときどき思う。
 今作では、死体の使い方や目撃証言、あるいは密室の在り方など、理之貫の潜在的に「こう考えると面白いなぁ」と思える可能性をちゃんと回収して議論する。だから面白いと思った。
 ただ例によって例のごとく、現象や場合分けが複雑だから再読して整理したい。
 それにしても相変わらずだな氷川さん。「しかし、さらに論理の神に忠誠を誓うならば」とか言い出すところなんか特に。