キャッチアンドリリース
キャッチボールをした。
むろん、来るべき研究室対向ソフトボール大会に向けた猛特訓の一環である。
猛特訓というのは、もちろん冗談で、実際のところ単に肩慣らし程度だ。
母親のダイエットに付き合わされ公園に連れられたのは小学校の低学年くらいだっただろうか。
それでも、そのときはメガホンよろしくぶっといプラスティック製のバットをブンブン振りまわしただけで、キャッチボールなどという高等な遊びをした思いがない。
したがって理之貫にとって、キャッチしたボールを投げるという遊びをしたのは今回が初めてなのだった。
初めは飛んでくるボールが怖くて実験に用いる安全メガネ着装の許可を願いたかったが、人間はやっぱり哺乳類で、環境に慣れることに適した動物であったらしく、どうにかできるようになった。
やっぱりみんなキャッチボールなんかやって遊んでたのだろうか。