うちの研究室に神がおりたった、と言っても過言ではないだろう。
 今日、研究室の本棚がピンク色に染まっていた。
 ピンク色って言うのは、もちろん、子供が見ちゃいけないような本という意味では決してなく、まさしく色のことで、赤い光と青い光が混ざって生み出される桃色のこと。
 どうやら参考書にピンク色の花柄やらキティーちゃんやらの実にしっかりした紙のカバーがされ、それぞれに手製でビニールのカバーがされているのだ。
 そう、これは今日よりうちの研究室にやってこられる助手さんの所有物に違いなかった。
 ドクター上がってすぐ助手になられた方で、実験を始めたら一週間は泊まり込むという型破りな噂からきわめて厳格なお人なのでないのかと推測され、少しでも機嫌を損ねると研究テーマであるフェムト秒レーザで焼かれるのではないかと畏れおののかれるそんな助手さん。そんな助手さんの所有物がキティーちゃん。
 もちろん中身はIRやらわけの分からん式。
 いやぁ、おしなべてピンクなのはいいけど、本人はさ、見分けできるんだろうけど、みんな中身分かんないよね。
 同じ柄のとかあるし。
 少なくとも、現段階で研究室で一番女の子しているのは助手さんであろう。